京の肉うどん

関西で「肉」と言えば、例外なく牛肉を指す。久しぶりの関西で、それを再確認した。関西名物「551」の豚まんも決して「肉まん」とは呼ばれない。関東では「肉玉」と呼ぶお好み焼きも関西では間違いなく「豚玉」だ。東京の居酒屋で出された肉じゃがに「肉が入ってない!」と噛み付いたツワモノもいる。つまり豚肉入りの肉じゃがは偽物だというわけ。メニュー名が「肉じゃが」ではなく「豚じゃが」なら問題なかったかもしれない。

総務省の家計調査によると、全国の県庁所在地と政令市の中で1世帯当たりの年間支出額がもっとも高いのは京都市で、以下、和歌山市奈良市大津市大阪市堺市と上位6位までを関西勢が独占している。一方、豚肉は横浜市が1位で、関西圏でベストテンに入る市は奈良市だけだそうだ。これでは豚肉が入った肉じゃがに憤慨するのも仕方あるまい。

ともあれその家計調査に従うなら、京都こそ牛肉文化を味わうべき土地柄なのであろう。そこで先週末は競馬場の内外で肉うどんを食べまくった。

京都競馬場ステーションサイドの「つくもうどんEXPRESS」は京都界隈ではお馴染みのうどんチェーン。屋号にもなっている長崎県九十九島産と瀬戸内海産の2種類のイリコから引いた透明なダシは香り高く味わいも深い。「特製甘辛肉うどん」は一杯880円。

つくもうどんEXPRESS

「KASUYA」のかすうどんは競馬場の定番うどんとしてすっかり定着した感がある。京都、阪神だけでなく、東京、中山でも営業しているから関東でもすっかりお馴染みになった。あらためてメニューを見ると、競馬場ごとに微妙に違うから面白い。肉系に関しては、京都には「肉かすうどん」(900円)しかないが、阪神にはそれに加えて「ぼっかけかすうどん」があり人気を分けている。また、東京・中山のメニューは「肉盛りかすそば」。そばをメインに据えているのはマーケティング上の判断だろうか。

KASUYA

ゴールサイド4階の「肉処だるま」は肉料理の専門店。2000円を超えるメニューが大半を占める中、うどん類は比較的安い。行き交う京阪電車を眺めることができる。肉うどんは1300円と値が張るが、肉料理専門店だけあって牛肉の存在感が強い。

肉処だるま

競馬場を出て、京阪電車淀駅を挟んだ反対側に行くと「辨慶うどん」というお店が暖簾を掲げている。京都五条にもお店があって、どうやらその系列店らしい。もちろん肉うどんを注文。

辨慶うどん

ブツリとした独特の歯応えは小倉肉うどんを彷彿させるものがある。甘めのダシものど越しもそれに近いが、こちらの方が上品な味に感じるのは京都の底力だろうか。そもそも何杯食べても飽きない味であること自体が、食文化としての完成度の高さの証左であろう。

 

***** 2025/6/3 *****