大井所属当時の戸崎圭太騎手が、後続との差を確認するほどの楽勝ぶりだった。2010年、創設初年度の東京スプリング盃を勝ったのがフジノウェーブ。現在のレース名の由来となった地方の雄は、地方所属馬として初めてJBCのタイトルを獲得した一頭でもある。

明日は大井でフジノウェーブ記念が行われる。だが、創設当初は「東京スプリング盃」の名で行われていた。ちなみにこの前年には、それまでの東京シティ盃が「東京スプリント」と改名されている。東京スプリング盃と東京スプリント―――。どちらも同じ春シーズンに同じ大井で行われる短距離戦ということで、「東京スプリント盃」とか「東京スプリング」などと言う具合に混同されるケースも相次いだ。

ともあれ、フジノウェーブは2010年の東京スプリング盃創設から4連覇。つまり2013年の時点で、この重賞はフジノウェーブしか勝ってない。その年の同馬の急逝で、このレースが「フジノウェーブ記念」と改められたのは当然の成り行きであろう。おかげで東京スプリントと混同されるケースもなくなった。
高橋三郎氏をして「思い出の馬はハイセイコーとフジノウェーブ」と言わしめた一頭。大井競馬場で行われる数多くの重賞レースのうち、馬名がそのまま使われているのも、ハイセイコーとフジノウェーブの2頭だけだ。
2014年から「東京スプリング盃」改メ「フジノウェーブ記念」。フジノウェーブ以外の馬で初めてこのレースを制したのは、前年の南関東クラシック戦線を盛り上げたジェネラルグラントである。レース創設5年目にして初めて4歳馬のチャンピオンが誕生した。

フジノウェーブの4連覇は素晴らしい記録だが、それを脅かす若い世代が伸び悩んでいたことの裏返しかもしれない。ジェネラルグラントにしても、フジノウェーブが最初にこのレースを勝った2010年3月4日には、まだ生まれてもいなかった。この時点でフジノウェーブが生きていれば14歳だったわけだから、一気に10歳も世代交代が進んだことになる。若き後継者の誕生を天国のフジノウェーブもきっと喜んだことだろう。
明日のフジノウェーブ記念には2連覇中の7歳馬ギャルダルがフジノウェーブ以来の3連覇をかけて登場。対する4歳馬はティントレットとイーグルノワールの2頭が王者に挑む。連覇か、世代交代か。たかがSⅢとはいえ見逃せない一戦だ。
***** 2025/3/12 *****