優勝したのに罰ゲーム?

札幌の開幕週で知人の出資馬が見事勝利を飾った。本人も応援のため現地入りすると意気込んでいたが、ウイナーズサークルにも立てたのだろうか。仮にそうであれば飛行機代など惜しくもあるまい。

筆者も札幌競馬場のウイナーズサークルに立つ機会を得たことがある。とはいえJRAではなく道営開催でのこと。もう20年も昔の話だ。

札幌競馬場が今の場所に造られたのは1907年。しかし、それから1988年まで芝コースはなく、ダートコース専用の競馬場だった。当時は優勝馬の口取り撮影を本馬場で行うのが慣例。しかし悪天候時のダートコースでの撮影は猖獗を極めた。そこでスタンドに接する検量エリアに人工芝を敷いて、そこで撮影をすることに。これがウイナーズサークルの嚆矢。札幌に芝コースがあれば、誕生はもっと後だったかもしれない。

靴やズボンの汚れを気にせずにすむようになった馬主らはもちろん、ファンにとっても表彰式を至近距離から見ることができると、評判は上々だった。この成功がきっかけとなり、他の競馬場も次々とウイナーズサークルを導入。瞬く間に全国へと広まった。その発祥たる札幌のウイナーズサークルに立てたことは、ひとえに幸運だったと言うべきなのであろう。

とはいえウイナーズサークルにも課題はある。それが検量室からの距離問題。東京、新潟、中京のように検量室がスタンド地下にある競馬場は、ウイナーズサークルまでの距離がことさら遠い。途中にはスロープの上り下りもある。レースで消耗し切った馬に、余計な負担をかけるべきではない。そう指摘する馬主や調教師はひとりやふたりではなかった。

ウイナーズサークルへ向かうメジロジョーンズ

そんな折、開幕したばかりの新潟競馬場では暑熱対策の一環として、勝ち馬の口取り写真撮影を地下の検量室前でも実施できるように運用を変えたという。従来通りウイナーズサークルでの撮影も可能で、どちらにするかは優勝馬主が決めるらしい。一部からはファンサービスの低下を指摘される可能性は残るが、暑熱対策の徹底という観点では英断であろう。馬と人の福祉に理解のある大多数のファンの支持は得られるはずだ。

もっとも効果的な熱中症対策は、一刻も早く馬体から熱を取り除くことに尽きる。ゆえにレース後はただちに馬装を解き、全身に水を浴びせなければならない。そのための設備も競馬場には導入されている。しかし、そうした馬のための処置が、優勝することによって後回しになるのは本末転倒だ。武豊騎手もパドック周回の短縮を叫ぶこのご時世。「暑熱対策の徹底」を叫ぶならば、やれることはやるのが当然であろう。

 

***** 2025/7/31 *****